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高齢化社会と少子化のため、今以上に今後働ける人口が少なくなります。
そのため、日本全体でも、働き方を考え、「働き方改革」をしていますよね。
看護師の社会は年々男性看護師も増えてはいますが、やっぱり女性が圧倒的に多い職場です。
働き盛り、しかも経験年数もそこそこあって中堅ナースと呼ばれる30代前後の看護師が妊娠・出産で退職することも多く、
病院にとっても、残されたスタッフにとっても大打撃となることが多いのではないでしょうか。
なので、看護師の世界でも働き方改革ってとても大切なことなんです。
【働き方改革のメリット】
病院側のメリット
働き方に柔軟性、多様性があれば長く働き続けられる人が増えます。
そうすると、勤続年数が長い人が増え、看護の質も上がります。
新人教育や若手の育成にも力を入れていくことができます。
また、新しい看護師を採用し、指導しなおすという手間が減ります。
結果的には人手不足の解消になりますよね。
自分自身のメリット
働き続けられることで、自分自身もキャリアを失わないで済みます。
一度退職して、現場を離れてしまうことによる医学や技術の学びなおしが必要となってしまします。
最近は看護必要度、転倒転落アセスメント、褥瘡管理、退院支援などなど次々と新しいことを学んでいかなければなりませんが、一度離れてしまうと浦島太郎状態になってしまいます。
そして2人目・3人目と妊娠したときにも産休・育休に入り、手当をもらうことができます。
さらに、より長く働いた方が基本給やボーナスもあがり、退職時には退職金も増えますよね。
働き方を変えることは良いことがたくさんあるんです。
でも
- 就業規則にないから
- 前例がないから
- 師長や部長からOKが出ないから
- 周りのスタッフに申し訳ないから
- フルタイムじゃないと家計が厳しいから
などといった理由から、働き方を変えられないでいる人も多いのではないでしょうか。
【看護師の退職理由】
退職に関するアンケート
退職理由
1位:出産・育児
2位:結婚
3位:他施設への関心
4位:人間関係
5・6位:超過勤務が多い、休息がとれない
潜在看護師が以前の職場を退職した理由
1位:妊娠・出産
2位:健康状態(身体的な理由)
3位:健康状態(精神的な理由)
4位:子育て
5位:時間外労働(残業)が多い
再就職時に抱く不安
1位:最新の知識・技術に対応できるか
2位:家事・育児との両立の不安
3位:保育など育児支援体制の確保
・働き続けられる理由
反対に働き続けている人の理由をみてみると
1位:通勤が便利
2位:人間関係がいい
3位:勤務時間が自分に合っている
4位:休暇が取りやすい
5位:福利厚生が充実
となっています。
これらの結果からもわかりますが
子育て中のママは特に、働き方に悩みます。
そして、これらをクリアできなければ、継続して働き続けるのは厳しいですよね。
病院側にも働き方の多様性をもてるような動きが必要ですが、
私たち看護師自身も、もっと働き続けられる職場にできるような働きかけが必要なのではないでしょうか。
問題は人手不足だけ?
根本的な原因は明らかに人手不足があると思います。
導入したての段階では独身の同僚にかかる負担が大きくなるかもしれません。
そのためスタッフの配置に余裕を持たせるなど、工夫が必要でしょう。
しかし、働き方がかわり、一人一人の負担が今よりも少なくなれば、
辞める人も減り、結果的に能力の高い層の退職を防げることになります。
そして、出産・育児で退職中の看護師も復職しやすくなります。
看護師は多様な働き方の導入が難しいと思いますが、もっといろんなパターンで働ける可能性があるのではないでしょうか。
まずは、国で認められている、子育て中の働き方に関する制度をもっと活用していきたいところです。
【国で認められているママの働き方】
育児介護休業法
まずは国で認められている制度の紹介をしますが、育児中の女性(男性も)は
国の制度のひとつ「育児・介護休業法」によって、以下の表の働き方が認められていまいす。
平成29年10月施行 育児介護休業法より抜粋
この制度は、職場に制度として整っていなくても、利用したい場合は職場に請求することができます。
育児中の人には利用できる権利があり、これを断ることはできないことになっているのです。
ただし、労使協定などによって利用できる対象者を限定することができるので、
勤続年数やパートなどの雇用形態などによっては利用できない場合があるので、就業規則を確認してみましょう。
育児介護休業法を知らない人も多い現実
今は働き方改革について話題になっているため、広く知られてきてはいますが、
それでも半数近くの人はこの制度を知らないので、師長や主任も知らないという場合があるかもしれません。
総務などに所定の申請書があったりしますので、もし働き方に悩んでいる場合は退職する前に、
それを持って上司に相談してみてはいかがでしょうか。
私も、実際に所定外労働の免除で残業免除の申請をしましたが、師長はその制度を知らず、
うちではやっていないと言っていたこともありました。
でもそんなことはなく、総務にはちゃんと書類もあり、申請書を持って部長との面談で希望を伝え、
後日認められたということがありました。
一度断られたとしても、制度を知らないということもあり得るので、すぐに諦めないことが大切です。
厳密に言うと、平成29年10月の施行にともない、就業規則を変更しなければならないので、
職場の就業規則も変わっていると思いますが、
会社側は請求された場合、本来は断ることができないので、もし断られた場合は労働局に相談してみても良いかもしれません。
制度に関するアンケート
これまでに受けた支援、活用した制度
1位:育児休業
2位:両親・家族による育児支援
3位:夜勤の免除・回数軽減
4位:院内保育・病後児保育
5位:支援は受けていない
受けたかったが、受けられなかった制度
1位:時間外労働の免除
2位:短時間勤務
3位:夜勤免除・回数軽減
4位:休日労働の免除
5位:子の看護休暇
育児介護休業法による制度が利用できておらず、働き続けるには家族の支援がなければ難しいということがわかります。
看護師も、もっと育児介護休業法を利用して、働き続けられる環境を作っていくことが大切でしょう。
退職する前に働き方を考え直してみましょう
看護師の場合、転職先はたくさんあるため、
働き続ける事が大変だと思ったときにはすぐに転職を考える場合が多いですよね。
しかし、育児介護休業法によって認められている働き方は、ほとんどが1年以上継続勤務している人が対象となっているため、
退職してしまうとこれらの制度を利用して働くことができなくなってしまいます。
長く働いているということは、子育て中のママにとってのメリットにもなります。
どう折り合いをつけていかに長く働き続けられるのか、退職・転職を選ぶ前に相談してみることをオススメします。
出典:厚生労働省 看護職員就業状況等実態調査結果