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特別豪雪地帯に住んでいる私は、たびたび大雪や吹雪の被害にあうので雑損控除を知ったときには北海道の人はけっこう使える人が多いんじゃないかと考えていました。
ただ、そもそも「所得控除」がよくわからないという声をよく聞きます。
そして「雑損控除」という言葉も聞いたことがない、という人が圧倒的に多かったので、今回紹介したいと思います。
雑損控除とは
雑損控除とは、所得税法で定められている所得控除の一種です。
予期せぬ災害やトラブルに巻き込まれてしまった場合に、税金の負担を軽減することができます。
医療費控除など、他の所得控除と同じように、確定申告をすることによって納税額を抑えることができます。
損害の原因
雑損控除の対象となる損害は、次のいずれかの場合に限られます。
・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
・火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難
・横領
ただし、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
雑損控除の対象資産とは
申請できるのは、資産の所有者が次のいずれかであること。
・納税者本人
・納税者と同じ生計の配偶者やその他の親族(その年の総所得金額等が48万円以下の方)
対象となるものは、日常生活に必要な家具、設備、衣類、什器、書籍、冷暖房装置、車両、堀、墓、住宅などの資産です。
棚卸資産や事業用固定資産、高額な宝石や別荘、骨とう品などの「生活に通常必要でない資産」は対象外となります。
雪害であれば
・雪下ろしの為に人に支払った賃金(同一生計親族等は除く)
・除雪機会等のレンタル料金
・町内会等が行った雪下ろし等の分担金
・雪下ろし用スコップやビニール製波板等
・雪囲い費用など、被害の発生を防止するための応急措置に係る防護柵等の設置費用
など、幅広く対象となります。
雑損控除額の計算
下記計算式のどちらか大きい金額の方で控除することができます。
(1)損失額(損害金額 + 災害関連支出)- 保険金などによる補てん金額 – その年の所得の10%
(2)災害関連支出 – 5万円
「損害金額」については、災害により被害を受けた住宅や家財、車両の損失額の「合理的な計算方法」で計算することができます。詳しくは、こちらをご覧ください。(国税庁)
申告方法
・確定申告書に雑損控除に関する事項を記載
・災害等に関連したやむを得ない支出の領収証を添付または提示。
(緊急的で領収証がない場合、なくてもOK)
なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています)。
雪害での被害負担を軽減するには
まずは、加入されている損害保険を活用してみましょう。
自動車保険などに付加されている携行品損害特約や、火災保険、家財保険、個人賠償保険など、活用できるものがあるため、ご加入の保険を確認してみてください。
保険など活用できなかった場合は雑損控除、もしくは災害減免法の適応になるため、どちらが良いか調べてみましょう。
※その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選べます。
知らないとただの出費になってしまう事も、何かしらの支援を受けられるケースがあります。自然災害が多い日本では、活用しやすい雑損控除。この機会に、まずは雑損控除というものを覚えてくださいね。